文化的行事で、伝統と命を守る ~台所から「きれい」と環境を守る~
2025/02/18

みなさん、こんにちは。
いつもコラムをお読みいただきましてありがとうございます。本年もよろしくお願いいたします。
さて、2025年となった今年は、SDGsの17の目標達成まであと5年を切りました。
国連では、2020年から10年間を【行動の10年】として各国のさらなる取り組みの強化を求めていましたが、
まだまだ市民レベルでも出来る余地はたくさんあります。
一緒に日常生活から出来ることをしていきましょう。
そのためにも、「台所から『きれい』と環境を守る」コラムをお届けします♪
今回のテーマは「文化的行事で、伝統と命を守る」です。
先日、立春を迎え暦の上では春となりました。
その前日の『節分』、みなさんは節分の日は、何か風習とされていることを行いましたか?
日本には古くからの文化的行事が数多くあります。
七草がゆ、桃の節句、端午の節句、七夕などありますが、
その中でも特に注目されるのが節分の「恵方巻き」です。
この日には、恵方を向いて無言で巻き寿司を食べるという風習があります。
この風習自体は素晴らしいものであり、家族や友人と一緒に楽しむことができます。
しかし、近年、この文化的行事が商品販売戦略に逆手に取られ、食品ロスの原因となっていることが問題視されています[1]。
スーパーやコンビニエンスストア、デパートの食品売り場などでは、節分が近づくと恵方巻きを大量に販売します。
様々な種類やサイズの恵方巻きが並び、一見すると私たち消費者にとっては選択肢が増えて嬉しいことのように思えます。
しかし、その裏には売れ残りという現実が待っています。
売れ残った恵方巻きは消費期限が短いため、廃棄処分されることが多いのです[2]。
食品ロスは環境に大きな負荷をかけます。
生産から廃棄までにエネルギーや資源が無駄に使われ、廃棄物の処理にも多大な費用がかかります。
さらに、食品が埋め立てられると温室効果ガスが発生し、地球温暖化の一因となります。
このような状況を考えると、文化的行事の継承と食品ロス削減のバランスを取ることはいかに重要かが分かります。
SDGs17の目標のうち、食品ロスの削減は、目標12『つくる責任つかう責任』につながります。
世界の食品ロスは全食品生産量の約3分の1、約130億トンにも上ります。
世界の約8億人の人が飢餓に苦しむ現状に照らし合わせると、
この食品ロス分の流通や消費が適切に行われれば、飢餓問題の改善にもつながると言われています[3]。
日本には「足るを知る」という美学があります。
これは必要以上に求めず、今あるものに感謝し、無駄を省くという考え方です[3]。
この精神を取り入れることで、食材という命を無駄にせず、自然と共生する暮らしを実現できるでしょう。
自分たちが消費する分を考えて生産し、その中でお米1粒たりとも無駄にしない先人の生き方、
伝統を大切にしつつ、環境にも優しい選択をしていくことが、今こそ求められているのではないでしょうか。
文化的行事は地域や家族の絆を深める大切な機会です。
しかし、それを経済活動の発展に結びつけた結果、そこで生まれる食品ロスという問題も見過ごすことはできません。
私たち一人一人が意識を持ち、行動を変えることで、伝統と環境保護の両立を実現することができるのです。
[1] 環境省 食品ロスポータルサイト
消費者向け情報 | 食品ロスポータルサイト
[2]Yahooニュース2025年2月25日記事『2025恵方巻廃棄の損失はコンビニだけで推計3億円超』
2025恵方巻廃棄の損失はコンビニだけで推計3億円超 2019年からの7年間で捨てる量は変わったか(井出留美) – エキスパート – Yahoo!ニュース
[3]国際連合食糧農業機関(FAO)
国際連合食糧農業機関 (FAO) 駐日連絡事務所