梅仕事から始まる、食材の保存性を高める暮らし ~台所から「きれい」と環境を守る~
2026/06/16
みなさん、こんにちは。IBPの有光眞織です。
いつもコラムをお読みいただきまして、ありがとうございます。
早くも6月、関東は先日梅雨入りしましたが、みなさんの地域はいかがでしょうか。
さて、ここ最近、スーパーや八百屋さんの店先に青々とした梅の実が並び始めました。
梅雨の長雨と一緒にやってくる、季節の風物詩「梅仕事」の季節です。
「梅仕事」というと、梅干し、梅シロップ、梅酒などがありますが、みなさんはチャレンジしたことはありますか??
昔から日本の家庭で受け継がれてきた梅仕事には、ただ美味しいだけでなく、「食べ物を長く、無駄なく大切に使う」という、先人たちの知恵が詰まっています。

一方、現代の食卓では「食品ロス」が深刻な問題となっています。
農林水産省の発表によると、2023年度の日本の食品ロス量は464万トンにのぼります[1]。
これは日本人ひとり当たり、年間およそ37キログラム——毎日お茶碗1杯分のごはんを捨てている計算になります[2]。
そこで今回のテーマは「梅仕事から始まる、食材の保存性を高める暮らし」について書きたいと思います。
実は、日本の食品ロスのうち、約半分は家庭から出ています。
家庭での食品ロスの主な原因は、
料理を作りすぎて残してしまう「食べ残し」、
皮や芯を厚くむきすぎる「過剰除去」、
そして未開封のまま消費期限を過ぎて捨ててしまう「直接廃棄」
の3つだと言われています[3]。
冷蔵庫の奥に潜む、いつの間にかしなびてしまった野菜、忘れられていた使いかけの調味料…心当たりのある方も少なくないと思われます。

食品ロス削減の現状(aff 2024年10月号)(2026.6.10参照)
食品ロスを生む大きな要因のひとつが、「食材が傷んでしまうこと」です。
だからこそ、保存性を高める工夫は、家庭でできる最も効果的な食品ロス対策のひとつなのです。
梅干しや梅シロップのような昔ながらの保存食は、糖度や酸度、塩味を高めることで食材を長持ちさせてきました。
また味噌のように発酵の力を活用した食品もありますね。
そして、一度仕込めば、半年から数年、美味しく食べ続けることができます。
また、食品ロスを減らすことは、CO₂の排出削減にも直結します。
捨てられた食品は、焼却の過程で温室効果ガスを発生させるだけでなく、生産・輸送に使われたエネルギーまですべて無駄にしてしまうからです。
「腐らせずに食べきること」
これ自体が、実は、立派な環境行動なのです。

◆台所から始める「食材の保存性を高める暮らし」のヒント
① 6月の旬を活かして梅シロップ・梅干しづくりに挑戦。
初心者でも失敗が少なく、夏バテ予防にもオススメです。
②葉物野菜は下茹でして冷凍保存。
季節の青菜は買ったその日に処理をするとしなびずに済みます。
③きゅうり・なすはぬか漬け・浅漬けに。
傷む前に漬けてしまえば、おかずも一品増えます。
④冷蔵庫は「見える化」と週1の在庫チェックを。
買い物前に必ず冷蔵庫を確認する習慣を。
⑤しなびた野菜はスープ・カレー・ピクルスに。
また、ベジブロスにも活用できます。
⑥残ったおかずはリメイク料理に。
煮物→炊き込みご飯、カレー→ドリアなど変身自在です。
食品ロスを減らすことは、家計の節約にもつながります。
食材の値上がりが続く今、「買ったものを最後まで使い切る」「腐らせない工夫をする」ことは、お財布にも、地球にもやさしい暮らし方。
日本政府は、2030年度までに家庭系食品ロスを2000年度比で半減する目標を掲げています[1]。
その目標達成のカギを握っているのは、ほかでもない、私たちの台所なのです。
梅雨のしっとりとした時間に、梅のヘタをひと粒ひと粒取りながら、昔の人が大切にしてきた「食を慈しむ時間」を、今の暮らしにも少しだけ取り入れてみませんか。
一年後に開ける梅シロップを楽しみに、未来の自分への贈り物のような気持ちで手作業をすると心も穏やかになります。
今月も、台所から一緒に「きれい」と未来を守っていきませんか♪
ここまでお読みいただき、ありがとうございました。
[1]農林水産省
事業系食品ロス量(2023年推計値)を公表(2026.6.10参照)
https://www.maff.go.jp/j/press/shokuhin/recycle/250627.html
[2]農林水産省
食品ロス削減の現状(aff 2024年10月号)(2026.6.10参照)
https://www.maff.go.jp/j/pr/aff/2510/spe1_01.html
[3]消費者庁 めざせ!食品ロス・ゼロ
家庭での食品ロスを減らそう(2026.6.10参照)




