資源も家計も守る「S+3E」を日常生活に。 ~台所から「きれい」と環境を守る~
2024/05/21
みなさん、こんにちは。
5月も下旬に差し掛かり、五月晴れの気持ち良い空が見られるようになりました♪
青空の爽やかさが気持ちよい季節、このような環境を永続的に守れるよう、
今月も「台所から『きれい』と環境を守る」コラムをお届けしたいと思います♪
さて、今回のテーマは「資源も家計も守る、持続可能な食卓への一歩」です。
2024年5月からの電気代の値上げについてのニュースが取り沙汰されていますが、
そもそもなぜ、電気料金は高騰しているのでしょうか。
まず、燃料費の高騰が大きな要因として挙げられます。
私たちは日常生活において、電気ガス水道を何不自由なく使用することが出来ていますが、
その安定供給には「エネルギーの約9割を輸入に頼っている」という背景があります。
世界情勢の影響から燃料費が高騰し、その結果、電気代が上がっているわけです。
そして、国内の電力供給不足も大きな要因の1つです。
東日本大震災によって原子力発電所が停止したり、
老朽化した火力発電所が廃止したりと、
国内の電力供給量が減少している一方で、
電力の需要は変わっていないのが現状です。
日本の1年間の消費電力量は、約1兆億kWh(キロワット時)と報告されており、
経済産業省の資源エネルギー庁は、次のように発表しています[1]。
もしも日本人みんなが、
1年間毎日休まず4時間自転車を漕いで発電したとしても
なんと、日本の電力消費量のおよそ2日分にしかなりません。
私たちがいかに膨大なエネルギーを消費しているか、唖然とさせられる数字です。
過去の本コラムでも紹介しましたが、
「アースオーバーシュートデー」という考え方があります。
これは、1月1日を起点として、
1年で地球が水産資源や森林などから生産できる資源よりも、
人間が使っている資源の消費量が上回る日を換算したものです。
世界中の人たちが、私たち日本人と同じ生活レベルをすると、
アースオーバーシュートデーは『 5月6日 』となります[2]。
残り7か月は未来の資源を前借りして暮らすことになる、というわけです。
世界全体のアースオーバーシュートデーは7月28日と発表されており、
いかに日本人がエネルギー資源をはじめ、
様々な資源を過剰に消耗しながら生活しているか省みる数字だといえます。
逆に言えば、エネルギー資源を大切に消費することで、
家計への逼迫も地球環境への負荷も和らげることができるといえます。
ここで参考にしたいのが『S+3E』です。
この言葉、みなさんは聞いたことがありますか?
これは、資源エネルギー庁が2022年に発表した、日本のエネルギー政策の基本指針です[3]。
これは安全性(Safety)を大前提として、
・自給率(Energy Security)
・経済効率性(Economic Efficiency)
・環境適合(Environment)
この3つを同時達成する、というものです。
では、具体的に私たちの日常生活でこの『S+3E』をどのように応用できるでしょうか。
例えば、『毎日の食事作り』において、これを念頭に置くことは、
エネルギーの過剰消費に対する1つの解決策になり得ます。
◎国産の食材を選び、省エネを意識しながら自炊する。
・安全性
=自炊することで、安価な油や白砂糖、人口添加物や保存料を回避した、健康的な食事が叶います。
・自給率
=輸入食材には輸送コストがかかり経済的・環境的負荷が大きい反面、国産食材の購入は日本の生産者を応援につながり、結果として国内自給率の引き上げにもつながります。
・経済効率性
=冷蔵庫の開け閉めを減らす、熱いものは冷ましてから冷蔵保存する、水道はこまめに止める、生ごみは水気を切ってから捨てる、など、こまめな省エネの取り組みは、電気代やガス代、水道代の節約に直結します。
・環境適合
=旬の食材を丸ごと活用した自炊をしたものを完食することで、フードロス削減にもつながります。そのような世帯が増えるほど、可燃ゴミの焼却にかかる税金やエネルギーコストの削減につながります。
いかがでしたか。
各家庭の取り組みをすることはとても小さいことのように思われがちですが、
その連鎖が日本の経済も地球環境も守ることに繋がります。
このコラムが皆さんの生活のヒントに繋がる一助となれば幸いです。
今回もお読みいただきましてありがとうございました。
参照:
[1資源エネルギー庁WEBサイト|資源エネルギー庁 (meti.go.jp)
[2] 2023年の「アースオーバーシュートデー」は8月2日 1年間の生物資源を使い果たす日:朝日新聞SDGs ACTION! (asahi.com)
[3] S+3E | 日本のエネルギー 2021年度版 「エネルギーの今を知る10の質問」 |広報パンフレット|資源エネルギー庁 (meti.go.jp)