食品が作られる過程に着目しよう ~台所から「きれい」と環境を守る~
2025/03/18

みなさん、こんにちは。
いつもコラムをお読みいただきましてありがとうございます。
次第に春めいてきた今日この頃ですが、みなさんの地域いかがですか。
今年は2025年、SDGsの17の目標達成まであと5年を切りました。
国連では、2020年から10年間を【行動の10年】として各国のさらなる取り組みの強化を求めていましたが、
まだまだ市民レベルでも出来る余地はたくさんあります。
永続的に[美しい春]を楽しめるように、
日常生活から出来ることを一緒にしていきましょう。
そのためにも、「台所から『きれい』と環境を守る」コラムをお届けします♪
今回のテーマは「食品が作られる過程に着目しよう」です。
現代の食卓は、季節を問わず様々な食品が手軽に手に入る「豊かさ」を象徴しています。
しかし、この便利さを支える一つの要素に、「ポストハーベスト農薬」の存在があります。
食品の保存期間を延ばし、流通過程での品質を保つために施されるこれらの処理は、
私たちの健康だけでなく環境に対しても大きな影響を及ぼしているのです。
農林水産省によると、「2020(令和2)年の生鮮果実の消費量は、1位バナナ」と発表されており、
私たちの生活に馴染み深い果物だと言えます[1]。
しかしバナナは国内での生産は難しく、輸入されます。
その際、長い輸送期間と市場到着時の鮮度を保つためにポストハーベスト農薬が使用されることが一般的です。
しかし、この過程で使用される化学物質が、輸出国の土壌や水源に浸透し、環境を汚染するケースが報告されています。
これにより、現地の農村地域での生態系バランスが崩れ、住民の健康に悪影響を及ぼす恐れがあるのです。
また、コーヒーも同様です。
独立行政法人国際協力機構(JICA)の資料によると
「コーヒー栽培では、殺虫剤、殺菌剤、除草剤が一般的によく使われる。
多くの農家は市場基準により適切にしているが、
一部の農家で基準を超えるケースやコーヒー果実に農薬が付着する可能性」がある[2]ため、
そのプロセスの改善を数年がかりで行われています。
私たちが毎朝手にする一杯のコーヒーの背後には、
輸出段階でポストハーベスト処理が施されている場合があります。
大量の農薬使用で地域の生態系が損なわれるという実態もあります。
これらの負担は生産地に集中しており、消費地である私たちには見えにくいのが現実です。
私たちが当たり前に感じている食品の便利さや豊かさの裏には、
こうした環境への負荷が存在していることを意識する必要があります。
持続可能な農業への転換や、化学物質に依存しない保存技術の開発など、
課題解決への努力が進められている一方で、
私たち消費者一人ひとりが選択肢を見直すこともまた、大切な一歩です。
例えば、日本国内で生産された季節の食品を選ぶことで、
長距離輸送に依存しない食品選びが可能です。
また、フェアトレード製品や、オーガニック食品を選ぶことで、
生産地と環境に配慮した行動を取ることができます。
私たちの食卓に並ぶ食品が、どのようなプロセスを経て私たちに届けられるのか。
その背景に思いを巡らせることが、最初のステップです。
便利さを追求する一方で、その代償として環境に何が起きているのかを知ること。
それが、持続可能な未来を築くための重要な一歩となるでしょう。
[1] 果実の自給率(農林水産省ホームページ)
[2] ケニア国氷温熟成技術を活用したポストハーベストにおけるコーヒー豆の品質と市場価値向上に関する基礎調査 業務完了報告書(2023.1独立行政法人国際協力機構/JICA)
[3] 添加物規制に関する国際比較(令和4年11月4日 厚生労働省)