バーチャルウォーターと食品ロス ~台所から「きれい」と環境を守る~
2025/08/19

みなさん、こんにちは。
いつもコラムをお読みいただきましてありがとうございます。
8月、記録的な暑さが続いていますが、みなさんの地域は、いかがですか。
さて、国連では、2020年から10年間を【行動の10年】として各国のさらなる取り組みの強化を求めていましたが、
まだまだ市民レベルでも出来る余地はたくさんあります。
年々、異常気象や、それによる災害のニュースを目にする機会が増え、
穏やかな地球環境をどのようにしたら次世代に残せるかを考え、行動に移さなければいけないと思う今日の頃です。
少しでも永く穏やかな四季を楽しめるように、日常生活から出来ることを一緒にしていきましょう。
今月も「台所から『きれい』と環境を守る」コラムをお届けします♪
今回のテーマは、「バーチャルウォーターと食品ロス」です。
みなさんは、日常生活で、未来の自分のために、どんなことを心掛けていますか?
近年、「食品ロス」や「大量生産・大量廃棄」といった言葉を、ニュースやSNSで目にする機会が増えました。
地球規模の課題のように思えますが、実は私たちも日々の生活の中で、この問題に向き合うことができるものです。
先日、某ハンバーガーショップのニュースを目にしました。
子ども向けのセットの付属品を一部の人たちが転売目的で大量購入し、ハンバーガーそのものは食べずに捨てる、ということがあったというものです。
これは更に視点を変えると、水999ℓを捨てているに等しいと言えます。
なぜなら、ハンバーガー1個を作るのに、約999ℓもの水が使用されているからです。
ハンバーガーの材料である牛肉、バンズ…
これらを栽培・飼育するのに用いる水を合計することで割りだされた水の量は、「仮想水(バーチャルウォーター)」と呼ばれています[1]。
「自分は、そんなハンバーガーを捨てるようなことはしない」
そう思う方がほとんどだと思います。
しかし環境省によると、日本ではいまだに、年間464万トンもの食品が「まだ食べられるのに」廃棄されています[2]。
食品ロスは、食べ物そのものや製造過程で使われるバーチャルウォーターを無駄にしていることと同義です。
さらに、電気やガスなどのエネルギー資源、動植物の命や生産者の労働時間やコストなど、多くの資源が含まれます。
それらが無駄になる上に、ゴミの処理に要する環境への負荷もかなり大きいことは想像に難くありません。
国連が掲げるSDGsの目標12では、2030年までに食品ロスを半減させることが示されています[3]。
目標12には、<つくる責任・つかう責任>というものがあります。
これを私たちの日常生活の食事シーンに当てはめると、どのようなことが言えそうでしょうか。
たとえば、「つくる責任」とは、食材や資源を大切に扱い、必要以上に作らない工夫をすること。
「つかう責任」とは、買ったものを無駄にせず、最後までおいしくいただくこと。
このように捉えることができそうです。
私たちにできることは「食べられるものは食べきる」ことです。
買い過ぎず、作り過ぎず、余ったら工夫して最後までいただくことが、「つくる責任・つか責任」を果たす第一歩です。
そしてこれらの日々の選択の積み重ねは、未来の地球を守るだけでなく、私たちの体と心を守ることにもつながります。
台所から始まる小さな選択が、未来の自分を守る習慣になるのです。
今日の一口を、無駄にしない選択から始めませんか?
そんな意識を私たちの暮らしの中から育んでいけたらと願っています。
今月もお読みいただき、ありがとうございました♪
[1]朝日新聞SDGsACTIONサイト(2024.10.23)
バーチャルウォーターとは? 食料と水の関係についてわかりやすく解説:朝日新聞SDGs ACTION!
[2] 農林水産省ホームページ
[3]国連広報センターホームページ