昆布の未来を考える。 ~台所から「きれい」と環境を守る~
2025/07/15

みなさん、こんにちは。
いつもコラムをお読みいただきましてありがとうございます。
記録的な暑さが続いていますが、みなさんの地域は、いかがですか。
さて、2025年も半分を終えました。
国連では、2020年から10年間を【行動の10年】として各国のさらなる取り組みの強化を求めていましたが、
まだまだ市民レベルでも出来る余地はたくさんあります。
年々、異常気象や、それによる災害のニュースを目にする機会が増え、
穏やかな地球環境をどのようにしたら次世代に残せるかを考え、行動に移さなければいけないと思う今日の頃です。
少しでも永く穏やかな四季を楽しめるように、
日常生活から出来ることを一緒にしていきましょう。
今月も「台所から『きれい』と環境を守る」コラムをお届けします♪
今回のテーマは、「昆布の未来を考える」です。
みなさんは、日ごろのお食事で昆布を活用されていますでしょうか?
7月初旬なのに、北海道でも「猛暑日」が記録されました。
この暑さの裏には、私たちが無視できない地球温暖化の影響があります。
そして今、その影響が、和食に欠かせない「昆布」に深刻な危機をもたらしているのをご存知でしょうか?
昆布は本来、冷たい海で育つ海藻です。
しかし、海水温の上昇によって根が弱り、「根腐れ」などの生育不良が起きやすくなっています。
さらに、海水の酸性化によって光合成や骨格形成が妨げられ、健康に育ちづらい環境になっているのです。
「真昆布、利尻昆布、羅臼昆布など国内産昆布の生産量の約9割を占める北海道。道内全体の生産量も、この20年ほどでほぼ半減」したというデータが発表されています[1]。
また、北海道大学の研究によれば、
「緩やかに温暖化が進行するシナリオにおいても2090年代には,11種の内6種のコンブ類が北日本の沿岸から消失する可能性」が予測されています[2]。
北海道漁連ホームページより[3]
昆布の減少は、和食文化だけでなく、
海の生態系や地域経済にも大きな影響を及ぼしています。
たとえば、利尻昆布で有名な北海道・礼文島では、
海底の昆布が消え「磯焼け」と呼ばれる現象が進行しています。
これは、海藻が育たなくなる状態で、昆布を主食とするウニやアワビなどの水産資源も危機にさらされています。
さらに、養殖に頼ろうとしても、温暖化によって適した海域は限られており、新たな漁場の確保も簡単ではありません。
担い手の高齢化や人手不足も重なり、昆布産業そのものの継続が危ぶまれています。
ここで大切なのは、この問題を「遠い海の話」として終わらせるのではなく、
台所に立つ私たちこそが、小さなアクションを起こしていくことだと思います。
例えば、どのようなことが挙げられるでしょうか。
・冷蔵庫の開け閉めを減らすことで、消費電力を抑え省エネに貢献。
・生ごみを減らす工夫(皮ごと調理、食材の使い切りなど)も、温室効果ガスの排出削減に。
・一度に作って保存する「発酵常備菜」も、調理回数とエネルギー消費を減らすエコな方法です。
私たちインナービューティープランナーは、
日々のレッスンの中で「食材の命をまるごといただくこと」の大切さをお伝えしています。
それは、美腸づくりや美肌、ダイエットといった健康面のサポートだけでなく、
自然の恵みに感謝し、環境に配慮した生き方そのものでもあります。
「出汁1杯」「ごはん1膳」の選び方が、未来の海や昆布を守る力になる。
そう考えると、日々の台所仕事が、もっと誇らしく、もっと意味のあるものに感じられる気がしませんか?
自然の恵みをいただく感謝の心と、次の世代につなぐ責任。
その両方を、私たちの暮らしの中から育んでいけたらと願っています。
今月もお読みいただき、ありがとうございました♪
[1]産経新聞記事 (2024/3/18)
消滅する天然昆布、大阪だし文化の危機 10年前から97%減「海が変わってしまった」 昆布の未来は 産地の異変 – 産経ニュース
[2] Predictions of kelp distribution shifts along the northern coast of Japan(日本北部沿岸に おけるコンブの分布変動予測)(2019/10/28)
日本北部沿岸におけるコンブの分布変動予測 | 文献情報 | J-GLOBAL 科学技術総合リンクセンター
[3]北海道漁連ホームページ 資料・データ
昆布供給量推移